10 November 2017

じょやのかね

実は11月1日にもう一冊、絵本が出た。福音館書店から単行本として刊行された『じょやのかね』だ。書店で見かけたら、お手に取っていただけたらうれしい。
クリスマスの絵本は多いけれど、お正月の絵本は意外に少ない。これからクリスマス商戦がはじまる中で、この真っ黒い異端児の絵本をどこに置くか、全国の書店ではきっと悩んでいるに違いない。
Another of my picture book published in November is "Ring the Bell on New Year's Eve" in Japanese by Fukuinkan Shoten Publishers.  It is a story of Japanese culture and my first book without a single bird.  



『じょやのかね』
とうごう なりさ さく 
福音館書店 1,200円+税
I made the illustration with vinyl tile engraving, and printed only with black ink on cream-colourd paper.  



大晦日に男の子がお父さんと夜道を歩いて、除夜の鐘をつきに行くというシンプルなお話。大晦日の晩は「古い年が終わって、新しい年がはじまる時」。わたしが小さい頃に大好きだったオペラ「森は生きている」の台詞で言えば「何が起こったって驚くことはない」時。でも、淡々といつもと同じ早さで過ぎていってしまう時でもある。
夜の光景と、日本のお正月の厳かな雰囲気を表したくて、黒一色で摺った版画にした。版に使ったのは床材のビニールタイルだ。
I made some illustrations for this story idea in 2014 but nothing came out for a long time.  I entered them to 2015 Golden Pinwheel International Illustrators Competition and they were exhibited at the Shanghai International Children's Book Fair among the artworks by 50 winners.  But the idea was still left alone for quite a while until my editor decided to publish it in spring 2016.  So I am very happy that it finally became a book!  



この絵本は、お話とイラストだけでなく、本のデザインもやらせていただいた。ジャケットは、広げると一枚絵になっている。



船橋に住んでいた小学生の頃、大晦日は毎年のように夜道を数十分歩いて、飯山満の光明寺に除夜の鐘をつきに詣でていた。過去のブログを探していたら、2007年のスケッチが見つかった。
お話を思いついたのは、留学から帰ってきた年に除夜の鐘をつきに行ったときだった。イギリスでのお正月は、クリスマス休暇の延長でしかなく、若者が飲んで騒いで終わってしまうような日だ。正月明けの5日が大学の1学期の課題の提出日だったので、三が日はのんびりするどころではなかった。
世界中に新年を祝う行事はたくさんあるけれど、カレンダーでの最初の日である1月1日に行っているところは意外と少なく、また日本のように厳かなのも少ない。

先日、絵本が出来上がったので光明寺にお礼参りに行ってきた。はじめて昼間の光で境内を見たらとても小さく感じた。まわりに闇があるだけで、大きく神秘的な場所に見えるものなんだな。



絵本の出版が決まったあと、編集者と松戸の東漸寺に取材にも行った。もちろん、大晦日にだ。



かがり火のスケッチ。これを元にタイトルページに図柄を彫った。



I had to create most of the artwork within a few months after I finished making the artworks for the "Magnificent Birds" book.  Because, of course, this book had to be published before the New Year's Eve!  



レトロでアートな雰囲気を出したくて、紙はマット紙で、とお願いしたのだが、マットな紙に真っ黒を印刷するのは難しく、紙や墨の色数を変えたりと、印刷会社の方が大変な試行錯誤を重ねてくださった。よってこんなに様々な見本ができてしまたった!
光沢のある紙ならば黒は簡単にきれいに黒く出るのだが、光ってしまうので深みがなく、工業製品っぽさが強くなる。でもマットな紙はインクを吸い込むので、なかなか黒くはならないのだ。



The book was printed beautifully on matte paper.  But before getting the rich black colour, the printing company tried on many paper with different ink pressure and so on.  

2 comments:

  1. 日本人が日本の文化を絵本にすることは、すばらしいです。変な言い方にはなりますが、ありがとう!です。

    ReplyDelete
    Replies
    1. hiyokichiさん、
      ありがとうございます。海外に出ると日本文化の伝えたいところが見えてきたりもしますね。「夜道を子どもと歩ける」安全さは日本が一番誇れることかもしれない、と思っています。

      Delete